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田中信裕の今日を生きる

傘かしげ

夕立が多いこの頃、
街中を傘をさして歩いていると
ときどき、すれ違いざまに、
傘がぶつかることがある。

時には、きっと睨んで行く人もいる。
何をそんなに急いでいるのかなと思う反面、
ちょっと、ムッとする。

そんな中、先日雑誌を読んでいて
「傘かしげ」
という言葉を知った。

「江戸しぐさ」の1つらしい。
「江戸しぐさ」とは、もともと商人の家に伝わる
門外不出の商売哲学で、
口伝であったらしい。

その中の、1つに「傘かしげ」というものがある。
「傘かしげ」jは、雨の日に、細い道などで人とすれ違う時に
さっとお互いに傘を傾げる(かしげる)しぐさのことらしい。

確かに、街中を歩いていて
そのような時に出くわすこともある。
思わず「どうも」とか「ありがとう」と言ってしまう。

江戸しぐさは、漢字で「江戸仕草」とは書かないらしい。
「江戸思草」と書く。
相手を思うからこそ、このように書くのかもしれない。
雨の日に、ちょっとした思いやりで
温かい気持ちになれる。
# by a-gaia | 2011-08-20 03:01

マネジメントと自己組織化

今、流行の
『もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
通称「もしドラ」は小学生まで知っている。

ある意味、経営教育を一気に推し進めたのではないかなと感じる。
書店でも様々なドラッカー本が並び、コーナーを埋め尽くす。
「もしポーター」や「もしコトラー」なども
便乗して出てくるのではなかろうか。


経営学と生物学を融合させようとしている自分にとって、
ドラッカーに関して一番興味深いのは、
彼自身が「経営学者」ではなく、
「社会生態学者」と名乗っていることである。

おそらく、要素還元的な考え方ではなく、
社会全体が有機的なつながりをもった
相互依存性に着目していたからではないだろうか。



ドラッカーの言葉は非常にわかりやすく
心に響いてくるものが多い。
自分のボスを想像しながら読むとおもしろいのが
『マネジメント』p.130である。


「うまくいっている組織には、必ず一人は、
手をとって助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。
この種のボスは、とっつきにくく気難しく、
わがままなくせに、しばしば誰よりも多くの人を育てる。
好かれている者よりも尊敬を集める。
一流の仕事を要求し、自らにも要求する。
基準を高く定め、それを守ることを期待する。
何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。
真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない。
このような素質を欠く者は、いかに愛想がよく、
助けになり、人づきがいがよかろうと、
またいかに有能であって聡明であろうと危険である。
そのような者は、マネジャーとしても、紳士としても失格である。」



マネジメントは、管理と訳されるが、
私はマネジメントは人を管理することではないと思う。
人を管理し、コントロールするとか、
意のままに動かすことは不可能なのではないだろうか。

自分が仕事に対し、一途に追求していく。
真摯であることによって、周りが自然についてくる。
つまり、マネジメントとは、自己組織化なのだと思う。
その状況をたまたまマネジメントと言っているような気がする。
それは、操作されたものではない。

「人をマネジメントしよう」
そう思った瞬間にマネジメントは失敗に終わる。
そんな気がしてならない。
# by a-gaia | 2011-06-23 02:51

電話でお辞儀

以前、教え子が企業から内定の電話を
もらう瞬間にでくわしたことがある。
そのときに、教え子は嬉しそうに
何度もお辞儀をして電話を切った。


そのときに「日本人のここが変!」
という特集の中で、ある外国人の方が、
「日本人は、電話をしている時に、
相手がいないのにお辞儀をするのが変」
ということを指摘していたのを思い出した。

もちろん、日本人に限らないとは思うが、
営業マンが電話をしながら、
お辞儀をする光景などはよく見かける。



端から見れば、相手がいないのに、
お辞儀をするのは変なことのかもしれない。

でも、自分は素敵なことだと思う。
なので自分はそのような姿を見ると、
思わず笑顔になってしまう。


目の前に相手がいても、いなくても、
相手がいると思って、お辞儀をする。

もちろん相手は電話なので、
そんな姿を目にすることはない。


相手が見ているから
お辞儀をするのではなく、
心から感謝しているから、
自然とそうなってしまうのだ。


そういった素直な感謝の気持ちの表れは
見ている周りの人をも
幸せな気持ちにさせてくれる。
# by a-gaia | 2010-08-30 02:14

講義というライブ

自分は企業は生き物と同じだと考えている。
経営学と生物学の融合に取り組んできている。

大学の講義もまた生き物のように思う。
同じ講義は2度とすることは出来ない。
同じ内容でも説明の仕方は無限にあるからだ。
その点では、音楽や演劇のコンサートライブと似ている。

講義はその時の自分の状況や
聴き手の状況によっても変わる。
聴き手によって引き出されることも多々ある。

自分も経験があるのだが、
同じ講義を何度聴いてもおもしろい講義がある。
それは、講義が新鮮だからだと思う。
伝えたいという「強い想い」があるからだと思う。

『面接の達人』で有名な中谷彰宏は、
大学時代にしなければならないことは、
たった一つ。
凄いと思える人に出会うことだと言っている。

凄いと思える人が師匠であり、
師匠の話は単位に関係なくとも
すべて聴くそうだ。

単位をとることが目的の学生は、
出席カードのために講義を聴く。
出席が足りないと単位が出ないから、
教室に座っているだけ。
それではあまりにも、もったいない。

単位をとることが目的ではなく、
凄いと思う人から1滴でも多く
エッセンスを吸収することだ。

講義はライブ。演じるこっちも真剣勝負。
ライブは英語で“live”と書くが、このliveには
「生きる」という意味がある。
それ以外にも、「思い出に残る」という意味もある。

講義を聴いて、誰かの心に残ったのならば、
自分の生きた証を残したことに他ならない。
# by a-gaia | 2010-06-23 14:52

年収1000万円のおばあちゃん

かなりのブランクからの更新です。
以前の読者の人はまた読んでくれるのだろうか。。。




株式会社いろどり という企業を知っているだろうか?
自分はこの会社が結構気に入っている。

http://www.irodori.co.jp/own/index.asp

この会社は、徳島県にあり、徳島市中心部から車で約一時間程の場所にある
上勝町というところにある。

人口は1,997名 (平成21年9月1日現在)しかいない小さな町だ。
私が働く経営学部の在籍者数が1,884名(平成21年5月1日現在)だから、
人数的には、たいして変わらない。

そんな町の高齢者比率がなんと49.5%!!
つまり半分が高齢者の町だ。



株式会社いろどり は「葉っぱ」をビジネスにしたことで有名だ。
葉っぱを何に使うのかというと、
料亭などで日本料理を美しく彩るための材料として、
季節の葉っぱや花などを、販売している。


葉っぱ軽くて高齢者でも収穫しやすい。
年商は2億6000万円にのぼり、
中には、年収1000万円を稼ぐおばあちゃんもいる。


おばあちゃんたちは、パソコンを駆使し、
全国の市場情報を収集して、
自らマーケティングを行い、葉っぱを全国に出荷している。
自分が町で何番目の売上を上げているかの順位も
分かるようになっているらしい。
やり甲斐や生き甲斐につながっている。


そして葉っぱを葉っぱとしか見られない人には、
このビジネスは思いつかなかったはず。

たとえば子供の頃、みんなにとって石ころは
宝物にもなったし、武器にもなったし、
おままごとのお金にもなったし、
石蹴りや水切りなど遊び道具にもなった。


石ころの見方はたくさんあったはず。
大人になるにつれ、常識や固定観念によって、
石ころは石ころとしか見ることが出来なくなってしまった。


モノの価値を見いだし、高齢者に働く場を提供し、
地方の過疎化の進む町を活性化させる。
マーケティングの神髄がこの企業にはあるように思う。
# by a-gaia | 2010-05-28 03:26



大学を卒業後、某食品スーパーに入社。店舗→情報システム部→営業推進統括部を歴任。現在、九州の大学にて准教授。病院コンサルティングなども行っている。2004年にMBA取得。趣味は物見遊山。

by a-gaia
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